離婚後の戸籍と名字の基本|知っておきたい制度と注意点
離婚後は、名字や戸籍の扱いが変わります。
「旧姓に戻るの?」「子どもの戸籍はどうなる?」といった疑問は、実際の手続きの前に整理しておくと安心です。
ここでは、離婚後に変わる戸籍と姓の仕組みを、できるだけわかりやすく解説します。
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1. 離婚後の戸籍・姓の基本ルール
離婚が成立すると、戸籍と名字の扱いが変わります。
基本的には、結婚前に使っていた旧姓に戻ります。
ただし、役所に「婚氏続称(こんしぞくしょう)」という届出を出せば、結婚中の姓をそのまま使い続けることができます。
届出を出さないまま離婚届を提出すると、自動的に旧姓に戻る仕組みです。
💡ポイント:離婚届の「氏の扱い」欄にも注意を。
離婚届の中には、「今の名字を続けるか」「旧姓に戻すか」を選ぶ小さなチェック欄があります。
ここで「婚姻中の氏をそのまま使う」に印をつけておけば、
別の書類を出さなくても、これまでの名字を続けて名乗ることができます。
逆に、印をつけずに提出すると自動的に旧姓に戻る扱いになります。
迷ったときは、窓口で職員に確認してから出すと安心です。
戸籍については、もとの親の戸籍に戻る「復籍」か、自分ひとりの「新戸籍」を作るかを選ぶことになります。
私の場合は旧姓には戻らず、婚姻時の姓をそのまま引き継ぎ、新しく子どもと戸籍を作り直しました。
どちらを選んでも法律上の違いはありませんが、今後の手続きや子どもの戸籍移動に関係する場合があるため、内容を確認してから決めましょう。
2. 離婚後も婚姻中の姓を名乗りたい場合(婚氏続称制度)
離婚後も婚姻中の名字をそのまま使いたい場合は、離婚後3か月以内に「婚氏続称の届出」を市区町村役場へ提出します。
この届出を期限内に出せば、結婚中と同じ姓を名乗り続けることができます。
もし3か月を過ぎてしまった場合は、家庭裁判所に「氏の変更許可申立」を行う必要があります。
ただし、許可を得るには「やむを得ない事情」が必要で、たとえば仕事上どうしても今の名字を使いたいなど、合理的な理由が求められます。
単に「気持ち的に変えたくない」などの感情的な理由だけでは、認められにくいのが現実です。
家庭裁判所で氏の変更を申し立てる場合は、次のような書類が必要です。
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本人の戸籍謄本(全部事項証明書)
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婚姻前から現在までの戸籍関係書類
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氏の変更が必要であることを示す資料(勤務先の証明など)
書類をそろえたうえで、家庭裁判所に申立書を提出し、許可が下りた後に役所で戸籍の変更手続きを行います。
やや手間のかかる手続きなので、「婚氏続称」を希望する場合は、離婚時の届出を忘れないようにしましょう。
3. 子どもの戸籍と姓の扱い
親が離婚しても、子どもの姓や戸籍は自動では変わりません。
つまり、親が旧姓に戻っても、子どもは引き続き婚姻中の姓のまま、元の戸籍に残ることになります。
子どもの名字を親とそろえたい場合は、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立」を行う必要があります。
この申立てが認められたあとに、役所で「入籍届」を提出することで、子どもの戸籍を親と同じ新しい戸籍へ移動させることができます。
💡ポイント:家庭裁判所での手続きが先、役所での入籍が後です。
順序を間違えるとやり直しになるため、手続きの流れを事前に確認しておくと安心です。
また、子どもの年齢や同意の有無によっては、審査に時間がかかる場合もあります。
まとめ
離婚後は、名字や戸籍の扱いが変わります。
旧姓に戻すか、婚姻中の姓を使い続けるかは、離婚届を出す時点で決めておくことが大切です。
また、子どもの姓や戸籍は自動で変わらないため、希望する場合は家庭裁判所を通じた手続きが必要です。
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離婚届にある「氏の扱い」欄を確認する
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婚氏続称を希望するなら3か月以内に届出を提出
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期限を過ぎたら家庭裁判所での申立が必要
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子どもの姓を変える場合も家庭裁判所で許可を得る
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書類や手続きの順序を間違えないよう確認しておく
離婚の手続きは、感情的にも複雑で迷うことが多いものです。
少しずつ情報を整理しながら、自分と家族に合った選択をしていきましょう。
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