トランス脂肪酸ってどれくらい危険なの? 知っておきたい、健康への影響と選び方
何かとよく耳にする「トランス脂肪酸」という言葉。健康には悪いというけれど、一体どれくらい悪いのでしょうか。
食品の原材料名で見かけることも多いですが、一体どれくらい影響するのでしょうか?
今回は、トランス脂肪酸が体に与える影響と、健康的な食生活を送るための付き合い方について解説していきます。
トランス脂肪酸とは?
トランス脂肪酸とは、植物油を固める際に、水素を添加して作られる不飽和脂肪酸の一種です。
マーガリンやショートニングなどの加工食品や揚げ物、インスタント食品によく使われています。
トランス脂肪酸の健康への影響
トランス脂肪酸は、体に悪影響を及ぼすことが分かっています。
- 悪玉コレステロール増加・・・トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きがあります。
- 動脈硬化や心疾患のリスクを高めます。
- 心臓病リスク増加・・・トランス脂肪酸の摂取が多いと、心臓病のリスクが高まることが、多くの研究で示されています。
- 糖尿病リスク増加・・・トランス脂肪酸は、インスリン抵抗性を高め、糖尿病のリスクを高める可能性があります。
- 妊娠・胎児への影響・・・妊娠中のトランス脂肪酸の摂取は、早産や低体重児出産のリスクを高める可能性があります。
- 免疫機能の低下やアレルギー疾患の増加
- 発がんのリスクを高める
- 認知症リスクの増加
世界での取り扱い
トランス脂肪酸は、健康への悪影響が明らかになったため、多くの国で規制されています。
特に、アメリカでは2015年に食品医薬品局(FDA)が、トランス脂肪酸の食品への添加を禁止する規制を導入しました。
この規制によって、アメリカではトランス脂肪酸を含む食品が大幅に減少し、国民の健康改善に貢献しています。
ヨーロッパでも、多くの国でトランス脂肪酸の含有量を規制する法律が施行されています。
日本でも、農林水産省は、トランス脂肪酸の摂取量を減らすよう推奨しており、日本の食品業界でも、トランス脂肪酸の含有量を減らす取り組みが進められ、多くの食品メーカーが、トランス脂肪酸を減らした商品を開発・販売しています。
しかし、現時点では、アメリカやヨーロッパのように、トランス脂肪酸を完全に禁止する法律は制定されていません。
日本では、まだ規制されていないことから、健康に悪影響を与えることが明らかになっている今、私たち自身が、原材料表示をよく確認し、トランス脂肪酸をなるべく摂取しなくていいような食品を選ぶように心がけることが、とてもとても大切です。
日本人の平均的なトランス脂肪酸の摂取量は欧米に比べ少ない傾向にあるとはいわれていますが、食生活の欧米化が進んでいるので、家庭で気を付けることがとても大切です。
トランス脂肪酸はどんな食品にはいっているの?
具体的に気を付けると言っても何をどう気を付ければいいのでしょうか。トランス脂肪酸を多く含まれる食品は下記になります。
トランス脂肪酸が含まれる代表的な食品はこちら!
- ポップコーン素・・・特に市販の電子レンジ用ポップコーンの素には、トランス脂肪酸が多く含まれているといわれています。
- マーガリン、ショートニング(マーガリンは約13%)・・・これらの油脂は、植物油に水素を添加して固めたもので、トランス脂肪酸を多く含みます。
バターやオリーブオイルなどの天然油脂を選ぶようにしましょう。
- 揚げ物・・・揚げ物に使用される油は、繰り返し使うことでトランス脂肪酸が増加します。
揚げ物は、できるだけ控え、揚げる際は、新鮮な油を使用しましょう。
- 菓子パン・パン・・・菓子パンやパンには、マーガリンやショートニングが使われていることが多いです。
トランス脂肪酸の少ない、全粒粉パンや手作りパンを選ぶようにしましょう。
- スナック菓子・・・ポテトチップス、クッキー、チョコレートなど、多くのスナック菓子には、油で揚げているものも多く、トランス脂肪酸が含まれています。
スナック菓子は、できるだけ控え、手作りのおやつを選ぶようにしましょう。
- インスタント食品・・・インスタントラーメン、インスタントスープ、冷凍食品など、多くのインスタント食品には、トランス脂肪酸が含まれています。
インスタント食品は、できるだけ控え、手作り料理を心がけましょう。
- ファーストフード・・・ハンバーガー、フライドポテト、チキンなどのファーストフードには、トランス脂肪酸を多く含む食品が多くあります。
ファーストフードは、できるだけ控え、健康的な食事を心がけましょう。
- 油の使いまわし・・・酸化した油、何度も高温になって使いまわしたサラダ油はトランス脂肪酸が増えます
オリーブオイル、ごま油、菜種油など、トランス脂肪酸を含まない健康的な油を選びましょう。
トランス脂肪酸の含有量の仕方・ポイント
一度、ご家庭にある食品の裏にある原材料表示を確認してみてください。
パンコーナーで見たほとんどのパンにマーガリンが使用されていました。
トランス脂肪酸の含有量や、トランス脂肪酸を含まないこと、低減されていることを表示する場合は、次のルールに従います。
- トランス脂肪酸を含まないことを示す場合・・・「無」「ゼロ」「ノン」「フリー」などの表示を使用します。
例)食品100gあたり(清涼飲料水では100mLあたり)のトランス脂肪酸の含有量が0.3g未満の場合、または食品100gあたりの飽和脂肪酸の量が1.5g未満の場合などに使用できます。
- トランス脂肪酸を低減している場合は、比較対照する食品名と低減量または割合を表示します。
食品表示は必ず確認し、トランス脂肪酸の含有量をチェックすることが大切です。トランス脂肪酸の含有量は、「0g」または「ごく少量」と表示されているものを選ぶようにしましょう。
まとめ
トランス脂肪酸は、健康に悪影響を及ぼす可能性のある成分とはわかっていながら、完全に私たちの生活から除去することはなかなか難しいです。
努力範囲で除去できる食品は買わない、食べないようにし、どちらか迷った時には、原材料表示を確認し、含まれないほうを選ぶことで摂取を控えることができます。
また可能な限り加工食品を控え、無理のない範囲で手作りを心がけることが大切です。
農林水産省