子どもの好き嫌いに悩むあなたへ——食卓を「責めない場所」にするために

こころと時間

子どもの好き嫌いに悩むあなたへ——食卓を「責めない場所」にするために

 

はじめに:あなたの今の気持ちに寄り添いたい

子どもの好き嫌い。 あなたは今、どんな気持ちでこの問題と向き合っていますか?

「今日も食べてくれなかった…」 「どうしたら食べてくれるんだろう」

そんな不安や焦りが、胸の奥にそっと居座っていませんか?

私もそうでした。 “偏食は親の責任” “もっと工夫しなきゃ” そう思い込みすぎて、しんどくなってしまった時期があります。

でもね、今、 子どもが成人してふり返ると、あの頃、あんなに自分を追い詰めなくてもよかったなと心から思うんです。

子どもはゆっくり、自分のペースで食べられるものが増えていきます。 大人になってから急に好きになることだってあるんです。 (私なんて、ナスが好きになったのはここ最近です。笑)

だからあなたも、どうか”食べることそのもの”を嫌いにさせないように。 そして何より、”あなた自身が苦しくなりすぎないように”。 少しだけ肩の力を抜いて、この先を読み進めてくださいね。

晩ごはんがおにぎりだけの日があっていい。 具を変えてみんなで握って、今日の出来事を楽しくしゃべる。

それだけで、もう十分なんです。

 


子どもの好き嫌いの背景を知ると、心がすーっと軽くなる

幼児期の味覚は”大人より敏感すぎる”って知っていましたか?

「なんでこんなに拒否するん?」 そう思うこと、ありますよね。

でも実は、子どもの舌は大人よりずっと敏感なんです。 苦味・酸味・食感に強く反応してしまうのは、子どもにとって自然なこと。

あなたのお子さんにも、心当たりありませんか?

アレルギーで”選択肢が狭い”子もいる

そもそもアレルギーで食べられるものが限られている子もいます。

「偏食」というより、”命を守るために避けていた”だけの食材もある。

背景はみんな違う。 だから他の子と比べなくていいんです。

味蕾(みらい)は幼い時期にもっとも多い——でも焦らなくていい

味を感じる器官「味蕾(みらい)」は、幼児期にいちばん多く、徐々に減っていくと言われています。

だから、酸っぱい・甘い・苦い・うま味など、いろんな味に触れる経験がしやすい時期なんですね。

でも、ここでひとつ伝えたいことがあります。

「いろんな味を経験させなきゃ」と、親が義務のように背負う必要は、まったくない。

余裕のある日に、ちょっと新しい味をひとつ置いてみる。 それだけで十分なんです。

食べられない日があっても、長い目で見れば大丈夫

昨日食べることが出来たのに今日は無理。 よくある話です。

子どもは”波”があって当然。 成長とともに味覚も変わるし、突然「食べられる日」がやってくることもあります。


今日からできる”責めないための工夫”を少しだけ

怒るより”食べることを嫌いにさせない”ことを優先する

あなたにも、嫌いなものを無理やり食べさせられた記憶はありませんか?

食べられないことで怒られると、食べ物だけじゃなく”食事の時間”そのものが嫌いになってしまう。

だから、今日は無理なら「いいよ」でいい。

親が”おいしそうに食べる姿”こそ最高の食育

子どもは、親の表情をほんとによく見ています。

あなたが「おいしいなぁ〜」とゆるく食べているだけで、そのうち子どもが興味を持つ。

がんばりすぎなくていいんです。

大皿には載せない

一人ひとりお皿に分けて食事するのはとても効果的。

大皿だと嫌いなものより好きなものをたべがち。極端にいうとあまり食べなくてもばれないから。

親御さんは洗い物がふえて、手間も増えますが、

どれくらい食べて、いつもより食欲が多い。少ない。など把握するのを知るいいきっかけとなります。

みじん切り・すりおろし・ペーストでハードルをそっと下げる

形をなくして混ぜる、一部だけペーストにしてソースやスープに入れる、ポタージュで”味だけ経験”させる。

こうした工夫は、”食べられた!”という小さな成功体験を作ってくれます。

でもね、これも余裕のある日に、思い出したときに、できる範囲で。 それで十分なんです。

それが次の「食べてみようかな」につながるんです。

一緒に作ることで”自分で食べるスイッチ”が入る

私の子どもたちが通っていた保育園では、5歳の誕生日に子ども包丁をプレゼントしてくれました。

そして、その包丁でみんなで食べる給食をときに作る。

自分で作ったものは、ちょっと特別。

おやつ作りからでも、週1回でもいい。 “自分で作る”体験は、食への意欲を自然と育てます。

義務にならなくていい、余裕があるときに少しでも一緒に。

そして、もうひとつ「食べる」に近づく小さなきっかけがあります。

家庭菜園を一緒にやってみること。

といっても、畑を作るなんて大げさな話では全然なくて、

植木鉢ひとつで育つミニトマト、バジル、ラディッシュ、いちご、葉っぱもの──そんな簡単なもので十分。

水をあげて、芽が出て、少しずつ大きくなるのを見る。それだけで、子どもに“食べ物って生きてるんだ”という

感覚が自然と育ちます。

そして、自分で収穫したものは、たとえひと口でも“食べてみたい気持ち”につながりやすい。

もちろん、収穫したのに食べてくれない日もあります。でもね、収穫したものも嫌いなものも

「どうせ食べないし」と出すのをやめないことが大事。

食べない日があっても、食卓に“その食材がある環境”をゆるく続けてあげる。それが、いつかの「食べてみよう

かな」に変わるから。

体験型イベントに参加

体験型イベントなどを活用して食育に生かすのもいいですね。

春にはいちご狩り、夏には釣りと魚とり、秋にはいもほりなど。

全国の食育イベント検索はこちら👇

こういうイベントってお土産もある場合も多く、大量のさつまいもを「どうやって食べようか」など、

親子で一緒に作るきっかけにもなり会話がひろがっていくのがいいですね。

同じ食材でもたくさん調理法があるというのも、食べてみようと思うかもしれません。

 


好き嫌いがあっても大丈夫と思える”3つの心の持ち方”

一つ食べられたら、それを全力で喜んでいい

あなたのお子さんは、最近何が食べられるようになりましたか?

“食べられた一つ”を全力で喜ぶこと。 それが、食の世界をゆっくり広げていきます。

忙しい日は無理しない(おにぎりの日があっていい)

完璧である必要はどこにもありません。

しんどい日は、おにぎりだけでいい。 具を変えるだけでも立派な食育。

あなたが笑っていられるほうが、子どもにとってずっと安心です。

他の子と比べなくていい

兄弟でも違う。 まして他の子と比べる必要なんてまったくない。

あなたの子は、あなたの子のペースで育っていく。


そしてここに”そっと置いておきたい割り切り”の話

味蕾(みらい)の話を知っていると、「いろんな味に触れさせる意味があるんだな」と気づけます。

でもそれも、思い出したときに、できる日に、できる範囲で。

そして、どれだけ工夫しても、どうしても食べられないものってあります。

これは大人でも同じ。 子どもにも、どうしても”無理”はある。

だから、「食べさせなきゃ」より、”この子はこれが苦手なんだな”とそっと割り切ること。

割り切ると、親の心がふっと軽くなるし、子どもも”責められない安心感”の中で育っていきます。

いつか食べたいと思う日が来るかもしれないし、食べれる日が来るかもしれない。そして、来ないままでも、それでいい。

大事なのは食べ物そのものより、家族で楽しく食卓を囲む時間が続くこと。

そのほうが、ずっと価値があるから。

 


そして最後に——”食卓が、責め合わない場所でありますように”

好き嫌いの悩みは、ただの食の問題ではなく、親の心にも深く響くテーマ。

けれど、 あなたは十分頑張ってきたし、これからも大丈夫。

子どもはちゃんと育つ。 好き嫌いがあっても、食べられない日があっても。

一番大切なのは、食べることを嫌いにさせないこと。 そしてあなたが、自分を責めすぎないこと。

今日の食卓が、おにぎりの日でも、涙の日でも、笑顔の日でも、

あなたと子どもの”ほっとできる時間”でありますように。